寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「………、聞こえていますか?」
「………。」
頭の中はクリアなのに、森若大雅に反応も返せないし、何の感情も沸き上がらない。
無が、私を支配する。
「………はぁ、壊れたんだな。」
眉をひそめた後、森若大雅は溜め息を吐き出す。
壊れた?
うん、そうかも。
きっと、ずっと前から私は壊れてたんだよ。
「まぁ、覚悟を決めておくんだな。」
それだけ言って、森若大雅は立ち去った。
あーぁ、
最後は莉茉の手で終わらせたかったなぁ。
なんて、贅沢な願い事だね?
でも、やっと、これで楽になれる。
ーーーーーそう、思っていた。