寵愛の姫 Ⅳ  【完結】


「………………茉莉。」



病室の窓から入り込む風が、彼女の髪の毛を、さらりと靡かせる。






入り口に背を向ける茉莉に、私は目を細めた。



「………、やっと、だね?」



遠回りしながら。







傷付いて。


苦しみながら。







ーーーーーやっと、本当の貴方に会えた。



「茉莉?」

「………。」



呼び掛けにも反応を示さない茉莉は、ずっと窓の外を見つめてる。






思い出すのは、医者の言葉。
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