寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「これまでずっと、自分だけが苦しんで、不幸なんだと思ってた。」
私だけが、被害者なんだって。
自分の考えだけを、正当化していたの。
でも、違って。
莉茉。
きっと、貴方もあの家の中で藻掻き、苦しんでいたんでしょう?
「ねぇ、どれ程、辛かったの?」
「………。」
「………、苦しかった?」
茉莉は、答えない。
視線さえも、病室の窓の外を向いたまま。
………………それが、やっぱり、悲しかった。