寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「茉莉、私は貴方の事を憎んでる。」
悲しかった。
苦しかったよ。
ーーーー地獄だったの。
あの頃を思い浮かべると、今も傷が疼く。
「正直、茉莉に会うのも、苦痛だよ?」
簡単に許せる訳がない。
笑って。
無邪気に大丈夫なんて、今は言えない。
「身体が震えそうになるの。」
心に受けた傷は、直ぐには治らないんだ。
………暁の愛情に、支えられても。
「でもね?」
自分の顔に、笑みが浮かんだ。