寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「それでも少しだけ、茉莉には感謝してるんだよ?」
生きている事に意味を全く見出だせなくて、夜の街をさ迷って出会った。
叶くん。
そして、運命の人。
ーーーー暁に。
あの日々がなかったら、私達は出会っていなかっただろうから。
「………何でだろうね、茉莉。」
優しく、茉莉の髪を撫でる。
私達がこんな風に触れ合うのは、本当に小さい頃だけだったね?
無邪気に笑い合っていた、あの日々。
それも、今は。
………………遠い、記憶。
「私の中で、茉莉を大好きだった時の記憶が、全くなくならないの。」
ずっと、側にいた。
私の、双子の片割れ。
大切な、妹。