寵愛の姫 Ⅳ
「暁と、家族になるね?」
もう、迷わない。
私の幸せは、未来にあるから。
「だから、茉莉も幸せになろう?」
私だけじゃなく。
茉莉も幸せになって、良いんだよ?
過去に捕らわれず、未来を手に入れて欲しい。
ーーーー貴方だけの、幸福を。
「直ぐには無理だけど、また茉莉に会いに来るから。」
名残惜しいけど、そろそろ暁の我慢も限界だろう。
これ以上、長居は出来ない。
「またね、茉莉。」
一向に何の反応も示さない茉莉に別れを告げて、背を向けた私は病室を後にした。