寵愛の姫 Ⅳ
「………………っ、莉茉っ!」
崩れ落ちた莉茉に駆け寄り、高崎暁がぐったりとした身体を抱き上げるのを、私は放心しながら見つめる。
な、んで。
………………どうして、こうなったの?
うん、分かってる、私が悪いんだって事は。
「っっ、」
ぽろりと、私の目から涙が一粒、下に流れて、零れ落ちていく。
ーーーーねぇ、莉茉。
お母さんが、どうしてあんなにも貴方だけを忌み嫌うのか、知ってる?
それは、
………………ただ、貴方を恐れたから。
莉茉が“あの日”に真実を知ったと、お母さんが思った故の恐怖心。