寵愛の姫 Ⅳ
「………。」
今日も、窓の外を見つめる。
私の世界は、灰色で。
見えている全てが、モノクロ。
無が、私を支配する。
今日も、
いつもと変わらない1日。
………………そのはずだった。
がらりと、スライドして開くドア。
「………………茉莉。」
ーーーーその後に聞こえた声は、私が不幸に落とし続けたはずの、莉茉のものだった。
っっ、あぁ、何で、
こんなにも、胸が震えるんだろう。
それなのに、それを莉茉に表す術を、無になった今の私は知らない。