寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「茉莉、会いに来たよ?」
ゆっくりと。
私に近付く、慣れ親しんだ気配。
ねぇ、何でよ。
どうして、そんな柔らかい口調なの?
もっと、罵れば良い。
最低だって。
私を罵倒する権利が、莉茉にはあるのに。
「………っっ、ごめんね、茉莉…。」
姉さんは、謝るんだ。
………………こんな、最低な私に。
突き付けられる。
私との、大きな違いを。
はっきりと、教えられるんだ。
ーーーー自分の、醜さを。