寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「………、茉莉、私ね?」
遠い昔を思い出すかのように、ゆっくりと、莉茉が言葉で紡ぐ。
私の知らない、貴方の事を。
うぅん、違う。
私は、知ろうとしなかった。
大切な、姉さんの事を。
「これまでずっと、自分だけが苦しんで、不幸なんだと思ってた。」
そう、莉茉に思わせたのは、間違いなく私で。
ねぇ、姉さん。
そんな私に、優しく語りかける貴方に、胸が痛いよ。
自分の仕出かした罪の重さと息苦しさに、
ーーーーこのまま、溺れてしまいそうだよ。