寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「………、あれは、執着だな。」
最後に見せた、莉茉ちゃんへと向けられる、狂気的なまでの、執着心。
己の家族にさえ、無感情だった水瀬茉莉の中で唯一、その感情を露にする事が出来るのは、たった1人。
………………莉茉ちゃんだけ、なのだから。
「チッ、厄介だな。」
あの妹が、莉茉ちゃんに対して、何をしてくるのかが、全く分からない。
予想が出来ないんだ。
早く、莉茉ちゃんの安全の為にも、こちらは何かしらの対処を講じなくては。
一先ずは、暁に水瀬茉莉の行方を見失った事を、報告しなくちゃ、だな…。
………………はぁ、気が重い。