寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「………何でだろうね、茉莉。」
………違う。
私が見ようとせず、目を背けていただけだった。
莉茉から。
全ての事から目と耳を塞ぎ、誰もと向き合おうとは、私はしなかった。
ーーーー自分の弱さにも。
私は、逃げていただけだったね。
「私の中で、茉莉を大好きだった時の記憶が、全くなくならないの。」
ありがとう、莉茉。
そう、言ってもらえて、嬉しい。
私も、なの。
何度も、あの頃を思い出す。
真実を知らなかった、
あの懐かしい木漏れ日を。
幼い、私達2人が無邪気に笑い合っていた頃。