寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「暁と、家族になるね?」
莉茉が欲しがっていた、家族。
私が一番最初に奪った、もの。
ずっと、
莉茉が望んで、求めていた、幸せな家族を作って。
「直ぐには無理だけど、また茉莉に会いに来るから。」
ありがとう、莉茉。
その、言葉だけで十分。
私は、救われるから。
「………………り、ま…。」
静かに閉まったドアに、私の目から一粒だけ、涙がぽろりと零れ落ちる。
ーーーーー寂しいなんて、言えないよ。
ゆっくりと、そのまま、私は瞼を閉じた。