寵愛の姫 Ⅳ
過去ー神無sideー
「いらっしゃい、2人共。」
インターホンを鳴らした後に、笑顔でドアを開けた莉茉が私と朔くんを出迎える。
その姿にほっと、するのは。
ーーーーあの、1週間の莉茉を見ているからで。
胸が潰されるような。
切なさを伴った、1週間だった。
「莉茉、身体は平気?」
「うん、平気だよ。」
問い掛けた私に、にっこりと莉茉が微笑む。
屈託なく。
心からの、笑み。
「神無、心配してくれて、ありがとう。」
「うん。」
「さ、どうぞ、上がって?」
柔らかく微笑んだままの莉茉が、私と朔くんを室内へと促した。