寵愛の姫 Ⅳ
「………、お邪魔します。」
少し、緊張する。
躊躇いは、一瞬で。
恐る恐る、朔くんと一緒に、室内の中へと私は足を踏み入れた。
「ーーーーわぁ。」
凄い。
感嘆の溜め息が、零れ落ちる。
広くて、綺麗なマンション。
初めて入る、莉茉の“居場所”は、私には場違いで。
身をすくませるしかなく。
おずおずと足を進めれば。
「………………来たか。」
ーーーーーその人は、いた。
類いまれな存在感と、他者を惹き付けて従える程の、オーラと威圧感。
正に、王者。
そう、思わせるその人は、不機嫌な表情で、優雅にソファーに座っていた。
………………朔くんの、お兄さんが。