寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「………………キレられる、よな…。」
あぁ、胃が痛い。
溜め息を吐き出した俺は、携帯電話の着信履歴から、暁の番号を表示させる。
そのまま、発信しようとした。
まさに、その時。
「………………っ、莉茉っ!」
駐車場内に、暁の悲痛な声が響き渡った。
「………っっ、」
ま、さか。
たらりと、嫌な汗が流れ落ちる俺の頭の中で、一番、最悪な事態が駆け巡る。
胸騒ぎに、走り出す。
ーーーー無事でいてくれ、莉茉ちゃん。
そう、願いながら。