寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「朔と神無は、珈琲と紅茶で良かったかな?」
「うん、ありがとう、莉茉。」
「ありがとう、莉茉さん。」
朔くんと2人、それぞれ莉茉にお礼を言って。
自分が落ち着く為にも、さっそく莉茉が入れてくれた紅茶に口を付ける。
「………美味しい。」
優しい、味がした。
温かい紅茶に、ほっと、自分の強張って身体から力が抜けていく。
その、次の瞬間。
「莉茉。」
ゆっくりと、目を開けたお兄さんが甘く莉茉の名前を呼んで、手を差し伸べた。