寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「………………え?」
思わぬセリフに、目を見張る。
過去を?
でも、それは…。
「………私達が聞いて、良いの?」
「うん、2人だから、聞いて欲しいの。」
穏やかな顔で微笑む莉茉。
その瞳の奥に、私達に対する信頼が垣間見えた。
「気持ちの良い話ではないだろうけど…。」
お兄さんの肩に凭れ掛かりながら、ぽつりぽつりと語り始めた。
自分の過去を。
「っっ、」
それは、想像していたものより、目を覆いたくなるほど、辛く悲しい現実で。
私の目から、涙が零れ落ちた。