寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「暁、どうかーーー」
騒がしさに駆け付けた俺は、我が目を疑った。
「………………は?」
………う、そ、だろ。
自分の血の気が引く。
「………っっ、莉茉ちゃん!?」
その場の惨状に、息を飲んだ。
ぐったりと崩れ落ちたまま、ぴくりとも動かない莉茉ちゃんを抱き上げる暁。
その場は、血だまりで真っ赤に染まっていた。
「………っ、刺されたのか。」
莉茉ちゃんの直ぐ側に呆然としながら座り込み、涙を流す水瀬茉莉の手元には、光輝くナイフ。
刃先は、血に濡れている。
この場の惨状の事の次第を俺が理解するには、それだけで十分だった。