寵愛の姫 Ⅳ


「ねぇ、朔くん。」



兄貴達のマンションからの帰り道。








隣を歩く神無は、真っ直ぐ前を向いたまま、俺の手を握った。








強く。





何か見えないものを、必死にひき止めるかのように。



「神無、どうした?」

「………、私、ずっと、運命とか永遠なんて言葉を信じてなかった。」

「………うん。」



ぽつりと呟いた神無に、俺は小さく頷いた。
< 235 / 377 >

この作品をシェア

pagetop