寵愛の姫 Ⅳ
「銀次、組員も数人、ここに来させろ。」
この場の、制圧。
呆然としたままの、水瀬茉莉の確保。
やる事は、山積みだ。
時間がない。
あの莉茉ちゃんの状態を見た限りでは、おそらく一刻の猶予もないだろう。
「………………っっ、莉茉ちゃん…。」
銀次の返事もろくに聞く事なく、莉茉ちゃんの元へと、俺は走り出す。
駄目だよ、莉茉ちゃん。
暁を置いていっちゃ。
何がなんでも、生きなくちゃ、駄目だ。
………………莉茉ちゃんに辿り着くまでの道が、とてつもなく長く感じた。