寵愛の姫 Ⅳ


「………、朔くん。」

「うん?」

「嵐、になるのかな?」



見つめる先は、漆黒の闇。







ぽつぽつと、降り始めた雨は、段々とその激しさを増していく。








それは、まるで。





………………荒れ狂う、獣のよう。



「さぁ、それはどうだろう。」



小さく、朔くんが笑う。



「晴れると良いね、朔くん。」


「うん、そうだね。」



2人で寄り添い合って、黙ったまま、暗く、淀んだ窓の外の空を見上げた。
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