寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「………、暁?」
漠然とした不安感が胸の中に巣くった瞬間、そっと触れる莉茉の指先が意識を引き戻す。
そんな俺の顔を、強い眼差しが見つめていた。
「ねぇ、どうしたの?」
「………。」
何も言えず、口をつぐむ。
この気持ちを、どう伝えれば良い?
ただ、ありふれた言葉しか浮かばない。
莉茉、お前が大切で。
ーーーー愛してるんだ。
「暁?」
不思議そうな莉茉が、俺の頬を撫でる。
それにすら反応する自分は、可笑しいのか?
「………………、暁、不安なの?」
「っっ、」
莉茉の指摘に、息を飲んだ俺の瞳が揺らいだ。