寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「私は、絶対に暁の事を1人にしない。」
「………。」
「だって、私が“帰る場所”は1つだけ、暁のこの腕の中だもの。」
確固とした莉茉の声に、俺の中に潜む闇が薄れていく気がした。
「死しても、絶対に貴方の事は手離さない。」
俺を引き寄せる莉茉の腕に力が入る。
「きっと、地獄にだって、私は暁の事を連れていくわ。」
囁くように、莉茉が呟く。
まるて、狂気的なまでの愛。
それが嬉しいと思う俺は、可笑しいのだろうか?
「莉茉。」
「うん?」
「俺も誓う。」
絶対に、違えない。
この、俺の思いだけは。
「俺が帰る場所も、お前の所だけだ。」
他の誰でもなく、お前の側に。