寵愛の姫 Ⅳ
「莉茉。」
高級ホテルの前に止まった車の中にいる私に、先に降りた暁の手が差し伸ばされる。
向けられる、その眼差しは優しい。
まぁ、それはいつもの事。
だけど…。
「………え、暁様が自ら手を差し伸べられているの!?」
「嘘っ、笑っていらっしゃるなんて!!」
「っっ、あんな眼差しをなされるなんて、なんて羨ましいっ!」
ざわつく周囲。
最早、悲鳴にも近い絶叫。
「………。」
うん、期待通りの反応だね。
でもさ?
「ん?」
ちらり、と見上げた私に、暁は甘く微笑む。