寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「私の存在は、周囲に極秘にされているらしいから、誰もが興味を示して見てるんだろうなぁ。」
ひっそりと、呟く。
好意的ではないのは、確実だろう。
嫌だけど、仕方がない。
はっきりと、存在を発表されていない私は、ただ、噂をされるだけだし。
高崎組の力で、徹底的に隠され愛される“寵愛の姫”がいる、と
「………莉茉?」
「っ、ごめん。」
暁の声にはっとして、差し伸ばされている手に重ねれば、引き寄せられる身体。
ふわりと、香るのは、同じ香水。
それだけで、鼓動が高鳴る。
頬を染めた私が、ちらりと周囲に視線を走らせれば、嫉妬に歪んだ顔がちらほら見受けられた。