寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
打算。
欲望。
様々な思惑が渦巻く、多くの人達の視線が、ねっとりと私に絡み付く。
「っっ、」
………………怖い。
あまりの恐怖に、身体が強張る。
それでも、
私がこの場に何とか立っていられるのは。
「莉茉。」
そっと、私を支え、
包み込む、暁の体温が側にあるから。
「っ、大丈夫だよ、暁。」
多少は、強張っていたかも知れない。
だけど、私は暁に笑い返す。
小さく、深呼吸して。
………うん、大丈夫。