寵愛の姫 Ⅳ  【完結】


「………神無?」



ずっと黙ったままの私の顔を、不思議そうな表情を浮かべた朔くんが覗き込む。



「大丈夫、か?」

「あ、うん。」



………………あぁ、心配を掛けてしまった。





苦笑混じりの笑みが零れ落ちる。



「ごめんね、なんだか、ぼーとしちゃってた。」

「………何か、考え事?」

「………、う、ん、そうなのかな?」



分からない。




自分の事なのに、何1つ。



「…………ただ、雨のせいかな?」

「うん?」

「何だか、胸がざわつくの。」



言い様のない、この私の気持ちは、何なのか。
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