寵愛の姫 Ⅳ

「莉茉様。」



それに答えるかのように、香川さんも小さく呟く。



「等ホテルへ、ようこそお越しくださいました。」

「今日は、お願いします。」



暁が私の名前を教えたって事は、香川さんは信用が出来る人。







そう解釈したので、にこやかに挨拶を交わす。



「こちらこそ、よろしくお願いいたします。」



そんな、私に、香川さんが相好を崩したのは、ほんの一瞬で。



「高崎様、別室にご家族の全員がお揃いです。」



素早く表情を真剣な顔に戻した香川さんは、暁へと告げる。



「分かった、案内してくれ。」



それに暁は、1つ頷いた。
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