寵愛の姫 Ⅳ


「畏まりました、ご案内いたします。」



そつなく、スマートに私達を先導する香川さん後ろを、暁と一緒に歩く。



「莉茉?」

「うん?」



暁の呼び掛けに、隣を見上げる。



「緊張してるのか?」

「………、少し、ね。」



肩に力が入っているのが、分かったらしい。








暁にエスコートされながら会話をする間にも突き刺さる、女の人達の視線に辟易する。



「莉茉、自信を持て。」

「え?」

「お前以外に、俺を欲情させる女はいねぇよ。」



最後だけ小さく耳元で意地悪く囁く暁に、私の頬が朱に染まった。
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