寵愛の姫 Ⅳ

媚薬ー暁sideー



「っっ、バカ。」



頬を染め、潤んだ瞳で俺を見上げる莉茉。








ほっそりとした身体が黒いドレスを纏う姿は、何とも言い難い色香を放っている。



「………。」



思わず、無言。





俺が選んだドレスだが。








………………拐っちまうか?









ホテルなんだから、空いてる部屋ぐらいあるだろう。







邪な考えが、頭の中を支配する。









良い案なんじゃ、ないか?


「………暁様?」

「あ?」

「控えて下さい。」



後ろに控える大雅に視線を向ければ、冷ややかな目を寄越しやがった。
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