寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
あの両親の事だ。
両親を、自分達で探しに来るんじゃねぇか?
………あり得るな。
「チッ、面倒くせぇ。」
零れ落ちる、舌打ち。
莉茉が、俺もんだって知らしめるのは、良い。
だが、
こんな色っぽい莉茉を、誰にも見せたくないのも、俺の本心。
相反する、2つの感情。
ーーーーこのまま、莉茉をどこかに閉じ込めてしまえれば良いのに。
「暁、大丈夫?」
これからの事にうんざりとしていた俺の顔を、莉茉が除き込む。
澄んだその瞳が、醜い心の中を洗い流してくれるような気がした。