寵愛の姫 Ⅳ
諍い
「高崎様、こちらのお部屋で、皆様がお待ちです。」
香川さんが立ち止まったのは、ホテルの中でも最上階の奥まった一室。
暁に聞いた所によると、警備の都合上、この階は全て高崎の家が押さえたとの事。
………一体、いくらになるのやら。
恐ろしい。
「「若、若姐さん、お疲れ様です。」」
扉の前にいた暁の家の見知った組員さん達が私達に気が付き、深々と頭を下げた。
「あぁ。」
「お疲れ様です。」
そんな皆に、暁は頷き、
私は笑顔を返して。
「香川さん、ありがとうございました。」
「いえ、では、私は失礼いたします。」
にこやかに感謝を述べた私に、微笑んだ香川さんは一礼すると、その身を翻す。
「組長、若と莉茉様が到着なさいました。」
香川さんを見送った大雅さんが、すかさず扉をノックして、中に声を掛けた。