寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「悪いか?」
「だって、貴方、誰かのもの自分でドレスを選ぶなんてしてこなかったじゃない?」
不機嫌そうな暁に、やれやれと、お母さんが肩をすくませる。
「だからてっきり………。」
「てっきり、何だよ?」
「ふふっ、ずっと朴念仁なんだと思っていたわよ。」
悪戯っぽく、お母さんが笑う。
「それにしても、」
きらきらした目を、お母さんから向けられる。
「さすがは、頼さんと私の血を引く子ね、センスが良いじゃない?」
上機嫌なお母さんは、私のドレスに見つめて興奮ぎみに頬を上気させる。
どうやら、お気に召してくれたよう。
「お母さんの着物も、凄く素敵ですね?」
お父さんの隣に上品に座るお母さんの着物姿に、うっとりと見惚れるしかない。