寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「………。」
無言の暁が怖い。
お父さん、お母さん。
お願い、気が付いて!!
ひしひしと突き刺さる、暁の怒りのオーラが私の肌に痛いんです。
「………………おい、誰が莉茉を連れて行かせるって言った?」
低い、暁の声。
「「………。」」
ぴたりと、和気あいあいとしていたお父さんとお母さんの会話が途切れる。
「何だ、莉茉さんを連れ出すのに、わざわざ暁の許可がいるのか?」
「あ?当たり前だろ?」
お父さんの問いに、暁が鼻で笑う。