寵愛の姫 Ⅳ  【完結】



ざあざあと、雨が降る。






まるで、子守唄。









静かな室内で、朔くんの胸から聞こえる心音と、雨の降る音に、うとうとと、微睡む。






この、優しい腕の中が、今の私の安らげる場所。



「………神無?」

「うん?」

「俺も、雨は嫌いじゃないよ。」

「………どうして?」



凭れていた頭を持ち上げて、朔くんの顔を仰ぎ見る。






そんな私を、優しい眼差しが見下ろしていた。
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