寵愛の姫 Ⅳ
「莉茉?」
現に今も、莉茉ちゃんの耳元で何かを呟いた暁は、満面の笑みを浮かべている。
さっきの頼さんとのやり取りの間の、あの不機嫌さはどこへやら。
囁いている内容は聞こえないけれど、莉茉ちゃんが真っ赤になった所を見ると、卑猥な事なんだろう。
「………全く、そんな所も頼さんに似たんだから。」
じとりとした目を向ける。
頼さんに、そこは似なくても良い所なのに。
「本当、似たもの親子なのねぇ。」
「っ、美夜!?」
ぽつりと呟いた私に、隣に座る頼さんが焦ったように声を上げた。