寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「昔の事ですもんね?」
「っっ、あぁ、今は美夜だけだ。」
小さく溜め息を吐き出す私に、甘い眼差しを向ける頼さん。
その言葉に一切の偽りはなく、一心に愛情を捧げてくれる。
ーーーー私だけに。
「美夜?」
「はい?」
妖艶な笑みを浮かべ、微笑む頼さんが、そっと私の耳元で囁く。
「なんなら、今夜にでも、また“教える“が?」
「っっ、」
………やっぱり、暁は頼さんの血を引く子だわ。
しみじみ、痛感させられた。