寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「………。」
ゆっくりと、俺は莉茉の陰口をたたく方ほと視線を向ける。
無表情の顔で。
お前らに、莉茉の事をとやかく言われる筋合いは、何一つねぇんだよ。
自然と、向ける目も冷たいものになる。
「「っっ、」」
目を細め、顔を覚える為、じっくりと見つめれば、一気に口をつぐむ馬鹿達。
俺の怒りに、ようやく気が付いたらしい。
顔を、青ざめさせている。
直接、こちらに言いに来る度胸もねぇんだから、ただの小者だな。
ーーーーさっさと、潰すか?
込み上げる激情を押さえ、俺が威嚇だけで終らせているのは一重に。
「………暁、大丈夫だから。」
困ったように笑う、莉茉の華奢な指が、俺を引き止めているからで。