寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
それがなけれは、俺はとうにキレていた。
だって、当たり前だろ?
莉茉を見下す奴は、俺の敵なのだから。
何人が、その事に気が付いているのか。
「ふっ、幸せな奴等だ。」
小さく呟いて、鼻で笑う。
莉茉が俺を押さえていなければ、あいつらに明日はなかったかも知れないんだからな。
「………?」
不思議そうな表情を浮かべる莉茉は、きっと分かっていない。
俺にとって、自分がどんなに大切な存在で、影響を与えるのかを。
一言。
”消して“
”要らない“
そう莉茉が言ったなら、俺は間違いなく、塵も残さず葬っていただろう。