寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
俺の全ては、莉茉。
まぁ、家族も取り敢えずは、頭の片隅に置いといて。
「莉茉?」
「うん?」
「嫌なら、直ぐに帰るから、無理な時は言えよ?」
何より優先するのは、莉茉だ。
煩いお袋の事は、ベタぼれな親父がどうにかするだろうし。
当の本人も、莉茉が帰るのを渋るだろうが。
無理に残す事は、しないだろう。
莉茉には、嫌われたくないだろうからな。
「ふふっ、私は大丈夫だよ?」
「そうか?」
「うん、それに、」
ゆるりと、口角を上げ。
「暁は私のだって、皆に見せ付けなくちゃ。」
俺の腕に、細い指を這わせた莉茉は、ふわりと妖艶に微笑んだ。