寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「暁?」
「ん?」
「私の為に怒ってくれて、ありがとうね?」
莉茉は、嬉しそうに顔を緩ませる。
「あぁ。」
そんな莉茉を引き寄せて、額に口付けた俺は、そのまま歩き出した。
「っっ、」
ざわり。
今までにない俺の姿に、驚愕のざわめきが会場内のあちこちで起こる。
これこそが、莉茉が裏の世界の影で”寵愛の姫“と呼ばれる所以だろう。
高崎組の若頭の俺と姐さん、そして組長までもが溺愛しているのは、この会場にいれば、分かる事。
存在を厳重に隠され、噂だけが出回る莉茉を、いつの間にか、皆が”寵愛の姫“と呼ぶようになった。