寵愛の姫 Ⅳ  【完結】


「暁?」

「ん?」

「私の為に怒ってくれて、ありがとうね?」



莉茉は、嬉しそうに顔を緩ませる。



「あぁ。」



そんな莉茉を引き寄せて、額に口付けた俺は、そのまま歩き出した。


「っっ、」



ざわり。







今までにない俺の姿に、驚愕のざわめきが会場内のあちこちで起こる。









これこそが、莉茉が裏の世界の影で”寵愛の姫“と呼ばれる所以だろう。








高崎組の若頭の俺と姐さん、そして組長までもが溺愛しているのは、この会場にいれば、分かる事。







存在を厳重に隠され、噂だけが出回る莉茉を、いつの間にか、皆が”寵愛の姫“と呼ぶようになった。
< 343 / 422 >

この作品をシェア

pagetop