寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「………帰りてぇ。」
人の多さに、げんなりする。
しかも、
正式にお披露目された莉茉に話し掛けようと、誰もがひっきりなしに近付いて来るから、休む暇もない。
打算も。
あわよくば、おこぼれに与りたい人間達の、欲望に染まった表情さえ、
俺を不快にさせ、苛立たせるには、十分で。
「パーティーは、苦手だ。」
苦々しく、呟く。
仕事なら、まだ仕方がない。
そう、思える。
でも、仕事をしていれば、付き合いや接待なんかも、もちろんある訳で。
その度に、向けられる女達の欲情を孕んだ眼差しは、勘弁して欲しい。