寵愛の姫 Ⅳ

遭遇



「………ふぅ。」



鏡に映る、疲れた顔の自分。







やっと一息が付けた私の口から、自然と安堵の吐息が零れ落ちる。



「意地、だね。」



ただ、暁の側にいたいだけ。









………………何を囁かれても。









凛と前を向き、悠然と微笑んで、暁の隣で話す事が、今日の私の役目。




「誰にも負けないもの。」



暁から、離れない。







ーーーーこれは、私の意地。








影で囁くだけの人には、暁の隣は渡さない。








これは、私の戦いだ。







暁に守られているだけでは、駄目だから。
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