寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「………………好き、朔くん。」
零れ落ちたのは、私の本心。
好きの気持ちが溢れ、自然と自分の口から紡いでた。
「ん、俺もだよ。」
やんわりと引き寄せられて、温かな朔くんの腕の中に囲われるように、すっぽりと収まる。
「好きだ、神無。」
頭に落ちる、朔くんの口付け。
それは、甘く私をときめかせ。
愛の言葉に、胸を震わせた。
あの頃。
朔くんと出会う前の私は、恋とか、愛だとか、そんな言葉を、全く信じてなかった。
永遠なんて、ちっぽけで。
儚く、幻想に過ぎないのだと。
………………自分の両親を見て、そう、私は思っていた。