寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「っ、落ち着いて、 容子。」
「はぁ!?」
聞いていれば、宥めるようとしている女性に、もう1人が怒っている感じ。
あまり良い雰囲気じゃないみたい。
「 美香、これが落ち着いていられる訳がないでしょう?」
喚く声が、この化粧室に近付く事に気が付いて。
ますます、私の中で、警鐘が大きく鳴り響く。
「ねぇ、 佳奈だって、許せないわよね?」
「………えぇ、まぁ。」
「ほらね、美香、馬鹿なんじゃない?」
「っっ、」
小馬鹿にしたように笑う、容子と呼ばれる女性。
全ての声からして、3人らしい。
その中の1人が、何かに憤慨しているらしい。
足音も、荒い。
他の2人は、何だか困っているような雰囲気だった。