寵愛の姫 Ⅳ 【完結】
「………何で、」
「っっ、」
痛い。
捕まれた腕に力が入れられ、顔をしかめる。
「どうして、あんたみたいな女なんかが暁様の隣に平然といるのよ!?」
「………。」
悲鳴のような、絶叫。
吐き捨てられる増悪に、目を見張った。
………あぁ…
理解してしまった。
………………目の前のこの人は、暁が好きなんだって。
「………、すみませんが、この手を離して下さい。」
だからって、譲れない。
暁だけは。
目の前の彼女を、真っ直ぐに見つめる。
「それに、貴方に責められる謂れはありません。」
瞳を逸らさない。
私にも、意地がある。