寵愛の姫 Ⅳ

怒気ー暁sideー



「………暁…。」



莉茉が目を見開く。








それすら反応が出来ず、俺の頭を占めるのは。









ーーーー怒り、だった。







誰のものに、手を出そうとしているのか。








沸き上がる、怒気。



「………おい。」



自然と、平淡な声が出る。





顔も、一切の表情が掻き消えて、無表情になっている事だろう。






その自覚はある。






でも、目の前の女達が悪い。






俺の何よりも大切な存在の、莉茉を傷付けようとしたのだから。
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