寵愛の姫 Ⅳ
「………、」
ゆっくりと女達へ伸ばされた俺の手は、ぴたりと、止められた。
その、温度のない冷ややかな莉茉の声に、はっと、視線を向ければ。
「ねぇ、暁?」
色のない、莉茉の瞳が俺を見つめていて。
「そうなの、暁?」
「っっ、」
無表情で首を傾げる莉茉に、俺の背中にぞくりとした感情が走る。
それは、恐怖ではなく。
ーーーーー歓喜。
「悪かった、莉茉。」
ゆるりと、口角を上げた俺は、女達に背を向け、するりと莉茉の頬を撫でた。