寵愛の姫 Ⅳ

「お前以外、触らねぇ。」

「………。」



何も言う事なく、莉茉の睫毛が伏せられる。









………女達は、もう、眼中になかった。



「大雅。」

「はっ、ここに、」

「ここは、任せる。」



大雅に言い捨てた俺は、華奢な身体を抱き上げる。








抵抗する事なく、莉茉は身を任せるだけ。







その顔は、伏せられたまま。



「さて、逃げようなんて、手間の掛かるような事はしないで下さいね?」




その口調は丁寧なのに、





どこまでも冷ややかな大雅の声を背に、俺は莉茉を抱き上げたまま、その場から歩き出した。
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